はじめに
 ノイシリン(Neusilin)は一般名メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(Magnesium Aluminometa Silicate)であり優れた制酸剤として国内外で既に高く評価され、胃腸薬製剤の原料として大量に使用されております。
 ノイシリンはその卓越した医療効果とともに、物理化学的にきわめて優れた性質をもっており、製剤面で賦形剤、結合剤、崩壊剤や吸着粉末化剤として錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などの品質の改善に広く用いられております。

<特徴>
1.ノイシリンは無定形構造を有するメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの微粉末です。
2.ノイシリンは比表面積が非常に大きく、高い吸油、吸着能をもち、また、溶媒中での分散性が大変優れています。
3.ノイシリンは圧縮成形性に大変優れています。
4.ノイシリンは熱に対して安定であり、また経時変化がありません。
5.ノイシリンには嵩比容積、水分、粒子形状、4%スラリーpHの異なる各種のタイプがあり、用途に応じて選択できます。
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ノイシリンの性状
 ノイシリンはメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの微粉末で、化学式で表わせばAl2O3・MgO・1.7SiO2・xH2O※)となります。ノイシリンの代表的なタイプとしては次頁のような種類があり、いずれも制酸剤、賦形剤などとして用いられます。

ノイシリン普通水分品(乾燥減量16%)はAl2O3・MgO・1.7SiO2・7H2Oの化学式で表わすことができます。

ノイシリンの一般的性質
外観 白色微粉末
結晶形 無定形
真比重 2.0~2.2
溶解性 水,アルコールに不溶,鉱酸,
苛性アルカリに一部可溶
主流分
(110℃乾燥物) (%)
Al2O3  29.1~35.5
MgO   11.4~14.0
SiO2   29.2~35.6
乾燥減量 (%) 20以下

ノイシリンの粉末特性分析例
 パウダー品
特性/タイプ FH1 FL1 NFL2 UFL2
嵩比容積
(ml/g)
(ルーズ値)
3.3 6.0 9.5 13
単一粒子径(μ) 0.1 0.1 0.1 0.02
比表面積(㎡/g) 110 150 250 300
吸油量(ml/g) 1.3 1.4 2.2 3.1
吸水量(ml/g) 1.0 1.2 2.0 2.8
4%スラリ-pH 9.0 9.0 7.0 7.0

  スプレードライ品
特性/タイプ S1 SG2 NS2N US2
嵩比容積
(ml/g)
(ルーズ値)
3.0 2.9 5.0 6.5
粒度分布 75μ以下
…40%以下
75~250μ
…60%以上
75μ以下
…10%以下
75~500μ
…85%以上
75μ以下
…30%以下
75~250μ
‥・70%以上
75μ以下
…40%以下
75~250μ
…60%以上
比表面積
(㎡/g)
110 110 250 300
吸油量
(ml/g)
1.3 1.3 2.2 3.0
4%スラリ-pH 9.0 9.0 7.0 7.0
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ノイシリンタイプ一覧表
製品名 ノイシリン
(一般名 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)
タイプ 普通品
FH1 FH2 FL1 FL2 S1 S2 SG2
局外規規格  
含量 Al2O3  (%) 29.1~35.5
MgO  (%) 11.4~14.0
SiO2  (%) 29.2~35.6
性状 白色粉末 白色微粒 白色細粒
乾燥減量(%)※1 13~20 5以下 13~20 5以下 13~20 5以下 8~12
制酸力(ml/g) 210以上
その他の規格  
4%スラリ-pH※2 8.5~10.0
嵩比容積(ml/g) Loose 2.9~3.7 3.0~4.0 5.2~6.5 5.4~6.6 2.7~3.3 2.7~3.4 2.7~3.3
Tapped 2.2~2.8 2.1~2.9 3.4~4.4 3.5~4.5 2.3~2.8 2.4~2.9 2.4~3.0
参   考   値  
真   比   重 2.0 2.2 2.0 2.2 2.0 2.2 2.1
比表面積(㎡/g)※3 110 110 150 150 110 110 110
粒子径 50%平均(μ)※4 17 17 7 7 - - -
分布(μ)※4 1.4~88 1.4~88 0.9~31 0.9~31 - - -
粒度分布 330号篩残(%) 10以下 10以下 0.5以下 0.5以下 - - -
100号篩残(%) 0.1以下 0.1以下 - - - - -
30号篩残(%) - - - - 5以下 5以下 5以下
200号篩通過(%) - - - - - - 10以下
安息角(α) - - - - 30 30 25~32
吸油量(ml/g)※5 1.3 1.5 1.4 1.5 1.3 1.4 1.4
吸水量(ml/g) 1.0 1.3 1.2 1.3 1.0 1.2 1.2
その他  
包装単位(kg) 10 20
用法・用量 成人1日1.5~4 g,3~4回に分割経口投与
承認番号・承認年月日 厚富薬第8788号,昭32.10.2,局外規成分コードNo.103929

製品名 ノイシリン
(一般名 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)
タイプ 中性品
NFL2 UFL2 US2 NS2
局外規規格  
含量 Al2O3  (%) 29.1~35.5
MgO  (%) 11.4~14.0
SiO2  (%) 29.2~35.6
性状 白色粉末 白色粉末 白色微粒 白色微粒
乾燥減量(%)※1 5以下 7以下 5以下
制酸力(ml/g) 210以上
その他の規格  
4%スラリ-pH※2 6.5~8.0 6.0~8.0 6.5~7.5
嵩比容積(ml/g) Loose 8~12 9~18 5.5~7.5 4.0~6.0
Tapped 5~7 6~10 4.5~6.2 3.0~5.0
参   考   値        
真   比   重 2.2 2.2 2.2 2.2
比表面積(㎡/g)※3 250 300 300 250
粒子径 50%平均(μ)※4 8 9 - -
分布(μ)※4 0.9~31 0.9~31 - -
粒度分布 330号篩残(%) 0.5以下 0.5以下 - -
100号篩残(%) - - - -
30号篩残(%) - - 5以下 5以下
200号篩通過(%) - - - -
安息角(α) - - 30 30
吸油量(ml/g)※5 2.0~2.4 2.7~3.4 2.7~3.4 2.0~2.4
吸水量(ml/g) 1.8~2.2 2.4~3.1 2.4~3.1 1.8~2.2
その他  
包装単位(kg) 10 5 10
用法・用量 成人1日1.5~4 g,3~4回に分割経口投与
承認番号・承認年月日 厚富薬第8788号,昭32.10.2,局外規成分コードNo.103929
この一覧表に記載されている参考値は、規格値ではありません。
※1 含有水分は、吸着水と構造水に大別され、この乾燥減量は吸着水に相当します。したがって110℃で乾燥した後には構造水が残ります。
※2 試料2gを量り、水を加えて全量を50mlとし攬拌後2分間放置し、pHメーターにより測定。
※3 BET法による測定値、窒素吸着。
※4 レーザー回折式粒分布計による測定値。
※5 JIS K5101(顔料試験法)
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ノイシリン各タイプの特性
ノイシリンの粉末特性分析例
タイプFH タイプFL タイプUFL
FH1  重質・普通水分
FH2  重質・低水分
FL1  軽質・普通水分
FL2  軽質・低水分
NFL2N  中性品
 軽質・低水分
UFL2  中性品
 特軽質・低水分

×20,000

×4,000

×20,000
比表面積、嵩比容積が小さく取扱が便利です。 比表面積、嵩比容積が大きく幅広い用途に用いられます。 比表面積、嵩比容積及び吸油量の非常に大きい粉末で、少量添加により物性が改善されます。
タイプ欄中Fはパウダー品を、Hは重質品を、Lは軽質品を、Uは特軽質品を、添字1は普通水分品を、添字2は低水分品であることを示します。

スプレードライ品
タイプS タイプSG
S1  微粒・普通分子
S2  微粒・低水分
SG2  細粒・低水分

×400

×10,000
球状の微粒子で流動性がよく、直接打錠用製剤などに繁用されています。 日局〔12〕の散剤細粒に該当する極めて流動性のよい球状粒子です。
タイプ欄中Sはスプレードライ品の微粒品を、SGスプレードライ品の細粒を、Nは中性品を 、Uは特軽質品を、添字1普通水分品を、添字2は低水分品であることを示します。
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ノイシリン各タイプの物性利用と添加量
項目/
分類
用途 備考 ノイシリンの各タイプと添加量(%)
FH1 FH2 FL1 FL2 1 2 SG2 NFL2 NS2 UFL2 US2


賦形剤 稀釈,増量               30~90 30~90 30~90 30~90
錠剤 バインダー,硬度上昇,崩壊助剤 5~20 5~20 5~15 5~15 5~20 5~20 5~20 1~10 1~10 1~10 1~10
流動促進剤 流動性の悪い粉末の流動性改善               0.5~5   0.5~5  
固結防止剤                     0.5~5  
液状薬剤の
固体化
各種液体,オイル,エキス などの高濃度粉末化               30~70   30~50  
増粘剤 沈降分離防止,粘度調節                   1~3  
潮解性薬剤の
安定化
湿気に不安定な薬剤などの安定化               10~20 10~20 5~15 5~15


流動促進剤       1~3 1~3       0.5~5 0.5~5 0.5~2 0.5~2
流体の固体化剤 廃油,廃液などを高濃度に固体化               30~70 30~70 30~50 30~50
増粘剤 ペースト,オイル,グリースなどの粘度調節,沈降分離防止               2~30   2~10  
吸着剤 遊離脂肪酸,ステロイド,性ホルモンなどの吸着     5~20 5~20 5~20 5~20 5~20 5~20 5~20 2~10 2~10













吸着粉末化剤                 30~70 30~70 30~50 30~50
配合ベース 耐水性化粧品,汗止剤,脱臭剤     10~30 10~30       5~20 5~20 5~20 5~20
分散助剤                 2~10 2~10 2~10 2~10
マット剤 裏面印刷などのマット剤                   1~5  
タレ止め剤                     1~5  
インキの
転移滲出防止
                    1~10  
ワックスの
研磨剤
                    1~10  
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ノイシリンの医薬品に用いる場合の配合量※)
用法・用量(医薬品製造指針 1991 p529参照)

  1. 製剤にノイシリンを有効成分として配合する場合、1日最低常用量(1.5g)の1/2量(0.75g)以上の配合が必要です。(1日1.5~4.0g)
  2. 製剤にノイシリンを賦形剤として配合する場合、1日最低常用量(1.5g)の1/5量(0.3g)未満であれば配合できます。胃腸薬製造(輸入)基準の場合は1日最大常用量(4g)の1/5量(0.8g)未満が目安となります。
  3. ただし、配合理由があれば1/5~1/2量(0.3~0.75g)までは、賦形剤として認められる場合があります。

※)胃腸薬製造(輸入)承認基準の制酸薬としての成分記載がされています。
※)かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬については有効成分として0.3~1.5gまで配合可能です。
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ノイシリンの形態と物性
 ノイシリンの微粉末は、およそ100mμの微細な1次粒子の凝集体で、2次凝集粒子と呼ばれるものです。その大きさをレーザー回折粒度分布計で測定しますと、FHタイプでおよそ1~90μ、FLおよびUFLタイプでおよそ1~40μであります。
 UFLタイプの電子顕微鏡写真を図.1に示しました。

図1.ノイシリンUFL2の粒子(2次凝集粒子)の電子顕微鏡写真


図2.スプレードライ品の粒度分布


図3.各タイプの嵩比容積
嵩比容積(ルーズ値)測定法
 100mlのメスシリンダーにガラス管を挿入し、試料をガラスロートを用いてガラス管内に入れる。ガラス管を静かに引き抜いて(試料容積90~100mlとなる様に充填)柔軟なハケで表面を静かに平らにする(下図参照)。このときの容積(Vml)および試料の重量(Wg)を測定し、次式によって求める。
 嵩比容積(ルーズ値)(ml/g)= V(ml)
W(g)


図4.各タイプの吸油量
吸油量測定法(JIS K5101)
  試料1gをガラス板にとり、煮アマニ油をビューレットから少量ずつ試料の中央に滴下し、そのつど全体をヘラで、じゅうぶんに練り合わせる。滴下および練り合わせの操作を繰り返し、全体が初めてかたいパテ状の一つのかたまりとなり、鋼ヘラでラセン形に巻き起こされるようになったときを終点とする。
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ノイシリンの水分
 ノイシリンの含有水分は、吸着水と構造水の二つに大別されます。吸着水は70~150℃で放出されAl2O3・MgO・1.7SiO2・7H2O(乾燥減量※)16%のFL1の場合)からAl2O3・MgO・1.7SiO2・4H2O(乾燥減量0%)となり、この過程で3分子の水が脱離します。150℃以上では段階的に重量の減少がありますが、これは主として構造水の縮合脱水によるもので、800℃では構造水は全て脱離します。

※)ノイシリン乾燥減量試験の実施上の留意点
サンプリング方法
・ノイシリンは吸湿性がありますので、包装形態の全体を2~3回揺り動かすか、縛り口附近を避けてサンプリングをして下さい。
乾燥減量試験法
・標記試験に際しては、下記条件にご留意下さい。
 温度:110±1℃
 試料の量:1g
 乾燥時間:7時間
 乾燥器:送風式乾燥器
図5.ノイシリンの示差熱分析チャート
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ノイシリンの吸湿性※)
 ノイシリンは、相対湿度が70%以下ではあまり吸湿せず、70%を越えると吸湿能は急激に増加します。したがって、潮解性粉末など湿気を吸いやすいものに添加することにより粉末の固結化を防止します。ノイシリン各タイプの吸湿速度曲線及び吸湿平衡曲線を図-6~9にそれぞれ表わしました。

※)ノイシリンの保管並びに取り扱い上の注意事項
・吸湿性がありますので、高温・多湿を避けて下さい。
・生薬その他揮発性物質、有機溶剤等との混在を避けてください。
図-6 ノイシリンの各タイプの吸湿速度曲線


図-7


図-8


図-9

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